ポツダム宣言

1945年7月26日
米、英、支三国宣言
(1945年7月26日 「ポツダム」に於て)

  • 一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブリテン」国総理大臣は吾等の数億の国民を代表し協議国に対し最後的打撃を加うるの態勢を整へたり右軍事力は日本国が抵抗を終止するに至る迄同国に対し戦争を遂行するの一切の連合国の決意に依り支持せられ且、鼓舞せられ居るものなり
  • 三、蹶起せる世界の自由なる人民の力に対する「ドイツ」国の無益且無意義なる抵抗の結果は日本国国民に対する先例を極めて明白に示すものなり現在日本国に対し集結しつつある力は抵抗する「ナチス」に対し適用せられたる場合に於て全「ドイツ」国人民の土地、産業及生活様式を必然的に荒廃に帰せしめたる力に比し測り知せさる程なり
  • 更に強大なるものなり吾等の決意に支持せらるる吾等の軍事力の最高度の使用は日本国軍隊の不可避且完全なる壊滅を意味すべく又同様必然的に日本国本土の完全なる破壊を意味すべし
  • 四、無分別なる打算に依り日本帝国を滅亡の淵に陥れたる我儘なる軍国主義的助言者に依り日本国が引続き統御せらるべきか又は理性の経路を日本国が履むべきかを日本国が決意すべき時期は到来せり
  • 五、吾等の条件は左の如し
    吾等は右条件より離脱することなかるべし右に代る条件存在せず吾等は遅延を認むるを得ず
  • 六、吾等は無責任なる軍国主義が世界より駆逐せらるるに至る迄は平和、安全及正義の新秩序が生し得ざることを主張するものなるを以て日本国国民を欺瞞し之をして世界征服の挙に出つるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は永久に除去せさるざるべからず
  • 七、右の如き新秩序が建設せられ且日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることの確証あるに至るまでは聯合国の指定すべき日本国領域内の諸地点は吾等の茲に指示する基本的目的の達成を確保するため占領せらるべし
  • 八、「カイロ」宣言の条項は履行せらるべく又日本国の主権は本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし
  • 九、日本国軍隊は完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し平和的且生産的の生活を営むの機会を得しめらるべし
  • 十、吾等は日本人を民族として奴隷化せんとし又は国民として滅亡せしめんとする意図を有するものに非ざるも吾等の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰加えらるべし日本国政府は日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし言論、宗教及思想の自由並に基本的人権の尊重は確立せらるべし
  • 十一、日本国は其の経済を支持し且公正なる実物賠償の取立を可能ならしむが如き産業を維持することを許さるべし但し日本国をして戦争の為再軍備を為すことを得しむが如き産業は此の限に在らず右目的の為原料の入手(其の支配とは之を区別す)を許可さるべし日本国は将来世界貿易関係への参加を許さるべし
  • 十二、前記諸目的が達成せられ且日本国国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては聯合国の占領軍は直に日本国より撤収せらるべし
  • 十三、吾等は日本国政府が直に全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し且右行動に於ける同政府の誠意に付適当且充分なる保障を提供せんことを同政府に対し要求す右以外の日本国の選択は迅速且完全なる壊滅あるのみとす。

(出典:外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻 1966年刊)